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━合わない歩幅と心と心━
それは永遠のような一瞬の出来事だった。
悪魔の黒い翼が空へ吸い込まれていく。
白く染まって消えていく。
翼の無い悪魔はただの人間だろうか?
悪魔だったモノは立ち上がる。
産まれたばかりの小鹿のようだ。
「もう、飛べないね。」
僕はソイツに声をかけてやる。
ソイツは震える足を見つめた後、顔をあげて言った。
「でも、歩ける。」
昔、見た顔だった。
ソイツは一歩。また一歩。
僕に近寄る。
「行こう。」
昔、聴いた声がした。
僕はソイツの手を取った。
そして、僕と小さなやせっぽっちは歩き始めた。
誇り高く。
どこまでも。
ーfinー
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