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「ハァ、ハァ、ハァ」
俺と世界は一心不乱に走る。
余計なことなんて考えなくていい。
ひたすらに走る。
足が重い。
まるで走るごとに重りが増加しているような感覚だ。
酸欠で頭痛が激しくなる。
だが、止まるわけにはいかない。
だから一歩でも多く前に進む。
路地を抜けた。
だが、時間もあり、人はいない。
おまけに暗さはそんなに変わらない。
俺は心の中で毒づく。
すると、後ろにいる世界は俺に向かって叫んだ。
「危ない!!」
その叫び声とともに、俺が掴んでいた世界の腕が、逆に俺の腕を掴んできた。
そして、そのまま後ろに引っ張られる。
世界は俺を後ろに引っ張りながら左手を俺たちの前に突き出す。
世界の左手にある、綺麗な羽根のついたブレスレットが光を放つ。
そして、その光は俺たちの前に壁を形成する。
瞬間、キンッという金属音が鳴り響く。
世界が作った壁に黒い剣がぶつかった音だ。
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