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「なんで? 俺の足にナイフが……」
激痛で意識が飛びそうになる。
だが、ここで意識を失うわけにはいかない。
俺は世界を静かに下ろし、右足の太ももあたりに刺さったナイフを抜き去って謎の男に投げる。
しかし、ナイフは男の顔の目の前で消滅した。
「無駄だよ。私の精製した武器は私には牙をむけない」
男は黒いコートを着ていて、手まで隠れている長い袖に、フードをかぶっており顔は見えない。
身長は170センチの俺より少し高い。
俺は足の激痛に耐え、衰弱した世界の前に立つ。
世界を抱えて逃げれる相手ではないことは分かっていた。
俺は野生の動物のように男を睨みつける。
「……。いい目だ。フフ。いいだろう。君もその歳で死にたいとは思わないだろう」
何を言っている?
確かに俺と世界は高校生である。
この歳で死にたいなんて思うわけない。
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