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「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
叫んだ。
グロテスクな姿をした女は透けてはいるが不気味で、腰を抜かしてベッドからずり落ちた父に手を伸ばそうとしていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
私は無我夢中でゴキブリスプレー(固まる泡タイプ)を女に向かって噴射した。
「さっ…さち!?」
父は涙目になりながらも、私を呼ぶ。
ゴキブリスプレーは泡になりながらも女の体を通り抜けていく。
「さち!さちぃ!!ゴ、ゴキブリじゃないんだよ!幽霊なんだよ!!」
「うるさい!分かってるけど何もせずにはいられないのよ!」
掃除機で吸い込むべきか!?
国際電話でアメリカからあの団体を呼び出すか!?
あまりに唐突すぎる状況に、良い案など思い付かない。
私は父の前に立ち、女から父を庇うようにしながらスプレーを噴射し続けた。
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