Mother's Wedding Band

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寒い月曜の午後だったことを覚えている。凍った道を通って、僕は学校から家へと帰った。融けて再び固まった雪の厚い層に深い足跡があった。家の中は暖かくて落ち着いた。バターで焼かれている魚のいい匂いをかぎながら、僕は重いコートを玄関のクローゼットにしまった。僕はコップ一杯の牛乳を取りに台所へといった。それは家の中での贅沢品のひとつだった。 「わぁ、お母さん」僕は言った。「いい匂いだね。僕は魚が大好きなんだ」 「私を困らせないで」母は言った。「いつもあなたはそうするわ。覚えておきなさい。何かしたら、夕飯をあげないわよ」
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