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だから、雛を…。
「コイツならいいのかよ!?コイツなら危険な目に合おうが、死にそうになろうが、コイツなら…」
いいのかよ…!
何で。そればかりが頭を支配する。
「壮大!口を慎め!」
「うるせぇ!俺はっ…こんなの、納得いかねぇ…」
「壮大?」
俯き拳を握り締める壮大の頭に、雛の手が乗る。
顔を上げれば、柔らかな、けれどどこか哀しそうな笑顔がそこにあって。
「壮大、私はね。幼い頃の記憶がなくて気付けばここにいたの。今まで置いてもらって、私は何にも出来なかった。
恩返しが、したかった。
だから、私後悔なんかしてないよ。生きてる価値があるんだよ、私。夢真珠保持者っていう、夢真珠の器っていう、役目が出来たんだよ」
だから。
悲しくないよ。
「それに」
君と、出逢えたから。
壮大は、何も言わなかった。否、言えなかった。
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