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「このやろ…外れろ…」
体に巻き付いた鎖、手首を拘束する手錠。
全て兵馬の能力。
金の力。壮大の土の力は、到底及ばなかった。
「う゛っ!!」
力任せに外そうとすればするほど、鎖と手錠は深く深く壮大に食い込んだ。
手首が落ちてしまいそうな。皮が引きちぎれてしまいそうな圧迫感に、壮大は顔を歪める。
「雛…!」
ギリ、と歯軋りし壮大はもがく。
ただ脳裏に浮かぶは雛の姿。
手首が落ちようと、鎖が食い込もうと、構わない。
雛を護ることが、できるのなら。
それが俺の使命であり、望み。
「…何やってんだよ…守護」
降ってきた声に顔を上げると、そこには雛の兄…燦が立ってメキメキと木の根をうねらせていた。
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