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燦ははぁ、と溜め息をついたかと思うと、うねる木の根を操り、ひょいと壮大を持ち上げた。
「…金の力は…木火土金水の中でも三番目に攻撃力の高い能力だ。俺の木の力じゃあどうにもならない」
「……」
やがて壮大を持ち上げる木の根が動き始める。
「…何すんだ」
されるがまま連れていかれる壮大はじろりと燦を睨んだ。
「…雛んとこ。行きたいんだろ?ま、行かなくてもいいけどな」
そう言われ、壮大は黙った。
「身動きできねぇお前なんか足手まといだってわかってんのによ…」
なのに、連れていこうとしている自分。
理由は不確かだ。
雛が…それを望んでいると思ったから。
壮大が助けにくるのを待っていると思ったから。
悔しいが、きっと…そうだ。
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