338人が本棚に入れています
本棚に追加
「夢美…?」
久遠は薄暗い洞窟を夢美の名前を呼びながら進む。
湿っぽいそこで、不調の体を引き摺り、久遠は妙な胸騒ぎを感じていた。
とんでもないことが起こってしまう、そんな予感…。
「さあ…君の名前は?」
「…ゆ、め、み」
「漢字はどう書くのかな?」
「ゆめに…うつくしい…」
「素晴らしいね!まさに最高の媒体だ!」
彦座の高らかな笑い声が洞窟の中で反響する。
壊れた人形のように、狂ったように笑い続ける。
虚ろな目をした夢美は、眉も動かさず、ただそこに佇んでいた。
「は…。じゃあ夢美ちゃん、始めようか…」
笑いを噛み殺しながら、彦座が歪んだ笑みを夢美に向ける。
終わりへのカウントダウンが、始まった…。
最初のコメントを投稿しよう!