久遠と夢見

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「その子は真珠になるのだよ。ただの真珠じゃあない。願いを叶える未知の真珠さ。 人間も、妖怪も、全ての生ある者達の希望…。 “夢真珠”へと、な」 「夢…真珠…?」 彦座の言葉をおうむ返しして、久遠はただ茫然としたままだった。 聞き慣れない言葉を理解しようとするも、夢美はそれを阻むようにその体を青白く透けていく。 あまりにも信じられない光景に、久遠は頭が回らずただただ腕に力を込めた。 「少女の夢を媒体に、少女は1つの真珠となる。 永い時を、少女は夢真珠として時の流れに乗る。 それは、夢真珠が夢を叶えるまで永久に続く…」 「意味わかんねぇ、んだよっ!!」 『早く大人になりたいな』 その夢は叶わない。 何故ならその夢は叶うことなく夢真珠へとなったから。 その夢は、他者の夢を叶える“夢真珠”へと、変化してしまったから。 少女の夢そのものが夢真珠で、少女そのものが夢真珠。 「――っ!」 「ほら…出来た」 夢美の体が溶けるように消え、空をかく久遠の手。 コロン、と小さな何かが落ちた。 それは、真珠。 色々な色の、真珠。 どこか哀しげな光を放つ、 “夢真珠”。
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