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そして、3日経ち。
彦座は少年、久遠を見つけた。だが、夢真珠はもうなかった。
既に久遠は死んでいた。
彦座はそんな久遠が残していったモノに、苛立ちを覚えたが、それは歓喜へと変わっていって。
その残していったモノ、夢真珠保持者と守護が、幾度となく夢真珠を護り抜き、彦座はいつからか楽しんでいた。
夢真珠を取り合う争いを。
楽しい。
保持者が守護へ、痛みを移す。我が身可愛さに自らを護る守護へ痛みを押し付ける、そんな裏切りを見るのが楽しい。
楽しい。
やはり夢真珠は最高の真珠だった。
こんなにも楽しませてくれる。こんなにも人間の汚い所を見せてくれる。
楽しい、楽しい…。
100年経ち。
今までで一番、楽しいであろう役者が揃った。
お互いを想い気遣い合う保持者と守護。
この二人の裏切りはきっと今までで一番壮絶なものだろう。想い合っていればいるほど。
保持者と離れ離れの兄もいる。ああ、使えるな、と思った。
何より。
「兵馬と言う。貴様は、何だ」
あの少年の、生まれ変わりまで!
そして。
夢真珠が、保持者に心を開き化身として現れた。
夢真珠の化身と少年の生まれ変わり。
ああ、きっと今までにない素晴らしい悲劇が、喜劇が楽しませてくれるだろう。
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