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「素晴らしい!素晴らしいよ!今までの中で最高に素敵だ!」
ぱちぱち、と割れんばかりの拍手をして歪んだ笑みで雛を見る。
雛はぞくりと悪寒が走り思わず夢真珠を握り締めた。
「ああ、やはり夢真珠は最高だ。今まで幾度となく夢真珠を作ったが、こんな素晴らしい戯曲はなかったよ」
「今まで作った……?」
彦座の言葉に壮大が眉を潜める。
「そうだよ。何百年も前、初めて夢真珠を作った。それはそれは楽しかったよ。人間の浅ましさ、愚かさ。そして夢真珠の媒体である少女の孤独。夢真珠のことを知りもしない人間達は薄汚い願いを夢真珠にすがっては利用していた」
「ひ、ひどい……!」
悲しげに雛は呟き彦座を睨む。
「……夢真珠は、これだけじゃないのか?」
そう静かに聞いたのは燦だ。操られていたとはいえかつての主をねめつけ問うと、彦座はニヤリと笑みを浮かべた。
「壊れたらまた作るだけさ。もういくつめだろうか。私は夢真珠製造者、永い時を過ごすには最適なのだよ」
そう言った、刹那。雛の横を、素早く抜けていく影があった。それは彦座へと真っ直ぐに駆けて、煌めく刃を躊躇いなく彦座へとふりかぶった。
「おや、兵馬。久遠の時の記憶でも戻ったのかな」
「……っ貴様」
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