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夢真珠、私の願いを叶えて。
「な、なんだ?誰なんだあれは?雛は?」
燦が戸惑いを隠せないまま言う。壮大も兵馬も、思うことは燦と同じで。
しかし、そんな時、二人と同じように戸惑っていた筈の兵馬が不意に呟く。
「ゆめ……み……」
そんな兵馬を、壮大が「知ってるのか?」と問うと、兵馬ははっと我に返り首を振った。知らない、筈だ。
「嬉しいね。朧気でも覚えててくれるなんて」
こちらへと歩いてきた少女が微笑む。赤くなった目を拭い、強い眼差しで三人を見回す。
「今の状況、わかってる?三人共、体に何か感じない?」
その言葉に、三人はハッ、と顔を見合わせた。
「そう言えば……さっきから力が溢れてくるような……」
その様子に少女は「雛の願いだよ」と言って彦座を睨む。
彦座はいまだに訳が分からない、といった顔をしていた。
「何故だ……。何故その姿で存在している!夢美!」
少女――夢美は、ニィッと笑みを浮かべる。
だがそれは、三人がすぐに強がりだと気付くくらい歪んだ笑み。
「夢見雛の願い。壮大、燦、兵馬。三人に、彦座を上回る力を」
その言葉に、その場にいた誰もが息を飲む。
「そしてもうひとつ」
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