終幕

2/7
前へ
/157ページ
次へ
夢真珠、私の願いを叶えて。 「な、なんだ?誰なんだあれは?雛は?」 燦が戸惑いを隠せないまま言う。壮大も兵馬も、思うことは燦と同じで。 しかし、そんな時、二人と同じように戸惑っていた筈の兵馬が不意に呟く。 「ゆめ……み……」 そんな兵馬を、壮大が「知ってるのか?」と問うと、兵馬ははっと我に返り首を振った。知らない、筈だ。 「嬉しいね。朧気でも覚えててくれるなんて」 こちらへと歩いてきた少女が微笑む。赤くなった目を拭い、強い眼差しで三人を見回す。 「今の状況、わかってる?三人共、体に何か感じない?」 その言葉に、三人はハッ、と顔を見合わせた。 「そう言えば……さっきから力が溢れてくるような……」 その様子に少女は「雛の願いだよ」と言って彦座を睨む。 彦座はいまだに訳が分からない、といった顔をしていた。 「何故だ……。何故その姿で存在している!夢美!」 少女――夢美は、ニィッと笑みを浮かべる。 だがそれは、三人がすぐに強がりだと気付くくらい歪んだ笑み。 「夢見雛の願い。壮大、燦、兵馬。三人に、彦座を上回る力を」 その言葉に、その場にいた誰もが息を飲む。 「そしてもうひとつ」
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

338人が本棚に入れています
本棚に追加