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夢見狩菜は、護身術として、体術を習っている。父親は惜しむことなく金を娘に使い、狩菜は高名な師に教えを乞うことが出来ていた。
狩菜は父から絶大な愛情を受け育っている。
体術の教えに関しても、狩菜を怒らないよう手を出さないよう念を押している。
そんな、周りからひたすら庇護された小さな少女は、純粋に育った。
それは、良い意味などでは、なく。
体術の成果を試したくて堪らない狩菜は、その相手に姉を選んだ。
そしてまた、父親は姉――血の繋がらない娘に言った。
「決して手を出すな」と。
狩菜の思うままにやらせてやれ、と。
言われた通り、無抵抗で妹の迎撃を受けた姉に生傷は絶えない。しかし、無抵抗の姉に技を叩き込み、成果を肌で感じることに味をしめた妹は、一度では終わらせなかった。
そして、姉が妹の背負うべき宿命を肩代わりし旅立つその日も。
妹は無邪気に、いつものように笑って。
技を受けて欲しい、と。
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