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「わ、わたしなんかのために、自分の存在を消して。すう、には、たいせつなひとが、いるのにっ」
その言葉と共に夢美が見たのは壮大。悲しそうに顔を歪めて唇を噛んだ。
燦も、兵馬も。もういない少女に思いを馳せながら悔しそうに拳を握った。
「壮大、燦、兵馬。お願い。彦座を倒して。夢美の為にも」
「……ふ、ふはははは!!面白い、面白いよ!いまだかつてないくらいに最高に面白いよ!夢見雛、とんでもない役者だ!」
あんなに甘ちゃんな少女が!こんなにも!楽しませてくれるなんて!
狂ったように笑い続ける。笑いながらくるくると指を振れば、水が彦座の元へと集まって巨大な水球がけたたましい轟音を轟かせていた。
「さぁそろそろ閉幕だ!夢美、また主役にしてやろうか、夢真珠として!」
ピッ、と指を壮大達へと向ける。すると水球は巨大な竜へと姿を変え襲い掛かってきた。
「彦座め、まだこんな力を温存して……」
忌々しげに兵馬が呟く。
能力を使おうとした壮大を片手で制したのは燦だった。
「木火土金水、木!」
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