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ごうっと今までにないくらい大きな炎が壮大を包む。そこにいる誰もが息を飲み、彦座もひくり、と一瞬焦りを滲ませる。
「火の、力!俺の命を燃やしても構わねぇから、」
「彦座を、消滅させろ!!」
「や、め、うあああああ!!」
彦座の断末魔は、火の勢いが増すと同時に、小さくなっていく。
誰もが、目を離さなかった。彦座が、消える、刹那まで。
「はぁっ、はぁっ……」
全てを燃やし尽くした炎が消えた瞬間、壮大はぷつり、と糸が切れるように倒れ込んだ。
雛、今、終わった。
終わった、けど。お前はもう、いないんだな。
それが酷く、寂しく感じて、壮大は呼び掛ける仲間達の声を何処か遠くに聞きながら意識を手放した。
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