きみがだいすきでした。

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あれから、一年。 「ひょーまー!ひょーうまー!!」 パタパタと腰までの桃色の髪を靡かせながら走る少女は、一人の名を呼んでいた。その名前の主は呆れたように「聞こえてるから」と言って、ぽんぽんと少女の頭を撫でた。 それが気に入らなかったのか、少女は「子供扱いしない!」と手を振り払う。 「私116歳だからね!歳上だからね!」 「そういうの屁理屈って言うんだぞ。精神年齢はまんま子供だし」 「むむむー!」 頬を膨らませる少女に、話題を逸らそうと「で、何の用だ?」と問うと、少女はあっさりと「そうそう!」と少年の目論見通り話題を変えた。 「壮大!壮大何処!?」 「さぁ、見てないな」 「アーイツ!こんな時に!」 「?何かあったのか?」 そんな少年の問いに、少女が答える間もなく、少年は目を見開き、硬直した。 「本っ当にこんな時に何処に行ったんだよー!」
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