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雛が道場に行くと、そこにはすでに狩菜がピョコピョコと跳ねながら待っていた。
「あっ来た!お姉様早くやろう!」
「わかった。おいで狩菜」
狩菜は雛に向かって走り出した。
「えいっ!」
勢いよく踏み込み、小さな体を浮かした狩菜は踏み込んだその勢いを利用し、雛の腹に足技を叩き込む。。
「かはっ……」
一瞬、雛は息を飲んだ。
「えへへ~今のね、昨日習ったの」
嬉しそうに笑う。
「そう。いい蹴りだったよ」
そう言うと、狩菜は気を良くし、次々と雛を蹴り、殴った。
「ねぇすごい?」
無邪気に狩菜が問う。雛は頷く。父親が大声で絶賛し拍手を送る。
狩菜はどんどん気を良くし、やめる気配を見せない。
いい加減雛はうんざりしてきた。
「ねぇ、そろそろやめようか?」
そう言うと、狩菜は頬を膨らませる。
「えぇ~もっとやりたいよぅ」
愛されて愛されて、ひたすら庇護された小さな少女は他人の痛みがわからなかった。
見ていた壮大は飛び出そうとする足を必死に床に縫いつける。今自分が行ったら、後々困るのは雛だ。
「雛、やってあげなさい」
「……はい」
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