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体中が、痛い。
狩菜は気を良くし、やめる気配が一向にない。
壮大は悔しげに唇を噛み、爪が食い込むほど強く、拳を握りしめていた。
「次いくよー!」
「っ!!」
無意識の、行動だった。
顔面に向かってきた狩菜の足首を、掴んでいた。
「うわぁっ!」
たちまち狩菜の視界は反転し、床と垂直になる。雛は狩菜をぶら下げている格好になっていた。
「うぇ…うあぁああん!やめてよぉぉっ!!」
狩菜の目から涙がこぼれ、床に染みを作った。
声を上げて泣きじゃくる狩菜に、雛は遅れて我に返る。
「……あ……」
雛は目を見開き、慌てて狩菜をおろす。
「狩……」
「雛!!何をしているんだ!!」
パシン、と雛の頬が、甲高い音をたてた。
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