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やってしまった。
「すい……ませ、ん……」
雛は床に手をつき、頭を下げた。
しかし父親はそのまま雛の頭を蹴る。
「あれだけ念を押しただろう!!何をやってるんだ!」
「っ!」
壮大は顔を背ける。
あまりにも、理不尽だった。
無傷の狩菜。
ボロボロの雛。
なのに、雛の肩を持つ者など一人としていない。
「すい……ま……せ……ん」
倒れたまま、雛は謝罪の言葉を繰り返す。
もう、動けないのだ。
父親が雛の髪を引っ張りあげる。
痛さに顔をしかめ、雛は父親を見る。
再度、頬を叩かれる。
もう、限界だった。
何でだよ。何で雛がこんな目に合ってるんだよ。
余りの理不尽に爆発しそうだった。
その爆発しそうな感情を、壮大は言葉にして、吐き出す。
「やめろ!!」
壮大は堪らず、叫んでいた。
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