10/11

338人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
やってしまった。 「すい……ませ、ん……」 雛は床に手をつき、頭を下げた。 しかし父親はそのまま雛の頭を蹴る。 「あれだけ念を押しただろう!!何をやってるんだ!」 「っ!」 壮大は顔を背ける。 あまりにも、理不尽だった。 無傷の狩菜。 ボロボロの雛。 なのに、雛の肩を持つ者など一人としていない。 「すい……ま……せ……ん」 倒れたまま、雛は謝罪の言葉を繰り返す。 もう、動けないのだ。 父親が雛の髪を引っ張りあげる。 痛さに顔をしかめ、雛は父親を見る。 再度、頬を叩かれる。 もう、限界だった。 何でだよ。何で雛がこんな目に合ってるんだよ。 余りの理不尽に爆発しそうだった。 その爆発しそうな感情を、壮大は言葉にして、吐き出す。 「やめろ!!」 壮大は堪らず、叫んでいた。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

338人が本棚に入れています
本棚に追加