338人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
「うああああ!!」
悲痛な叫びが響く。
夢真珠を埋め込み、継承して2日が経っていた。
雛と壮大は、小さな小屋で、2人で暮らしていた。
本当にここで合っているかどうかも疑いたくなるほどのボロ屋で、雛は毎夜夢真珠を埋め込んだ腕の痛みに、苦しんでいた。
「大丈夫か!?」
壮大が、心配そうに訊ねる。
雛は腕を抱えながら、苦し気に笑む。
「大丈夫、だよ。これも後1日で終わるから」
夢真珠を埋め込んで3日の間は、埋め込んだ腕に走る痛みに耐えなければならない。
夢真珠と、夢真珠保持者の体が、慣れるためである。
3日の間は、体が拒絶し、毎夜30分、激しい痛みに襲われるのだ。
3日経ち、体が夢真珠を受け入れてようやく、夢真珠は体の一部同然となり、痛みも消える。
「踏ん張れ。あと、5分くらいだ……」
壮大は、言葉をかけることしか自分に苛立ちながらも、雛を励まし続けた。
「うぅ…!」
あまりの痛さに、目尻に液体が溜まっていた。
溜まった液体はすぐに頬を伝う。
「……治まった」
最初のコメントを投稿しよう!