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痛みが引き、雛は数秒もしないうちに気を失った。
暫くすると、すぅすぅと安らかな寝息が聞こえてきた。
壮大は安心したように息をつくと、頬の涙の筋を親指の腹で辿る。白い柔肌に指を滑らせながら、壮大はやりきれない思いで雛を見つめていた。
「……お休み」
小さく呟くと、壮大は恥ずかしくなったのか、寝ている雛に背を向けて座った。
あと1日。
あと1日で、もうこれほど苦しむ心配はない。
変わらず、出来ることは少ないが……。
せめて側にいて、声をかけよう。
この時、壮大は知らなかった。
最後の夜は、他とは比べ物にならないくらい、過酷であることに。
この時、壮大は気づかなかった。
よりによって、最後の日に、初めて襲撃者が、来ることに。
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