338人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
「……ん」
早朝。
雛はうっすらと目を開けた。
いつ眠ったのかは記憶にないが、痛みが治まってすぐに寝てしまったのだろうと推測する。
「……壮大?」
雛は上半身を起こすと、雛の布団のすぐ横で座ったまま寝ている壮大を見つける。
「またそんな格好」
くすりと軽く笑うと、壮大の体を今まで自分が寝ていた布団の上に横にした。
壮大はいつも番犬のように、横にならず雛を護るように傍らに腰を据えていた。雛は、寝たらどうだと言ったが、壮大は頑なにそれを拒む。
雛を護りたいから、といって夜中ずっと横にならずに構えた体勢で睡眠をとっていた。
そして朝日が差し込み、雛が目を覚ますとその体勢で寝ている壮大に、この上なく嬉しいと感じるのだ。そして雛も、自身が目を覚ますと、体温で温まった布団に壮大を寝かすようになっていた。
「少しは横になりなよ」
そう言ってから、雛は立ち上がり、朝食を作るために台所に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!