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「いよいよラストだねっ」
にっこりと笑う雛。
「……あぁ」
その笑顔は無理して作られたものだとわかっている壮大は、もどかしくて、どうしても笑みを返す事が出来なかった。ついっ、と視線を逸らし、苦しそうに頷く。
雛はそんな壮大の様子を見て、胸が締め付けられたような気がした。
わかってる。
壮大が、一緒に辛い思いをしてくれていること。
自分のことのように、真剣に、受け止めてくれていること。
それだけで、嬉しい。
これから、すごく苦しい目にあうと分かっていても。
君が、一緒に苦しんでくれると言うのなら。
私は、無理にでも笑っていられる。
きっと大丈夫だと、信じられる。
心から感謝してる。
でも、感謝を言葉に表すのはまだ早い。
終わったら、必ず君に伝えるよ。
ありがとう、って。
ビキッ
「うっ!」
長く、苦しい夜が、始まった。
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