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「うあ!!」
腕がひきちぎられるようで、苦しい。
昨日までの痛みとは比べものにならない――。
「雛っ!!」
「そうっ、だい……!」
壮大は見ていることしか出来ない。
痛みを和らげることも、この痛みを代わってやることも、出来ない。
ただ、見守ることしか。
歯痒くて、悔しくて、もどかしくて。
「すいません」
「!?」
そんな時だ。
壮大を現実に引き上げるのを見計らったかのように突然の来客。
壮大は雛から離れるつもりは微塵もない。
「今取り込み中なんで日を改めてください」
言って、苦しむ雛の手を握ってやる。汗ばんで冷えた細く白い手を、壮大は嫌な顔もせず、ぎゅう、と手に力を込めた。
「そう言わずに入れてくれよ。夢真珠いただいたら、とっとと帰っからよォ」
その言葉に、バッと壮大が振り返る。同時に、バキィッ、と大きな音を立てて入り口の戸が蹴破られた。
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