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「ここ……どこ?」
気付けば、雛は、真っ暗な闇の中にいた。不思議と、腕の痛みはない。
何となしに呟いた言葉に、返事が返ってきた。
<クスクス……雛、君の中だよ……>
先刻の声が聞こえた。
雛は声の主を探す。
<後ろだよ>
言われ振り向くと、髪の長い少女が微笑みながら立っていた。
長い桃色の髪の毛を靡かせて、ゆったりと少女は雛に歩み寄る。
「あなたは……?」
<私は夢真珠の化身>
それを聞き、雛は大きく目を見開いた。
「夢真珠の?」
<そだよ。ね、雛?苦しいでしょ?辛いでしょ?最終日の痛みは半端じゃないんだ。それは雛もわかるよね。でも、痛む時間は……1日目、2日目よりも4倍長いんだよ」
「4倍って……2時間!?」
雛は思わず大きな声で驚いてしまった。
同時に、気が重くなる。
少女はクスリと笑うと、唇を雛の耳に近づけ、こう囁いた。
<もって、あと1時間もあるんだ……。嫌でしょ?
でもね、時間を縮める方法があるんだよ……>
それを聞くと、雛はすぐ近くにある少女の顔を目だけで見つめる。
「それって…?」
少女は口元に弧をえがく。
<この痛みを……守護に移すんだよ……>
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