命に代えても

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<痛み、移そっか?> 雛は肩に置かれた少女の手をゆっくりと退けた。 「……ううん。移さないで。残りも全部、私が受けるから」 そう言って、少女を見つめた。 少女はきょとんとした表情で、見つめ返す。 <……なんで?> 「今、壮大は私の為に、戦ってくれてるから。夢真珠の激痛は……私1人の問題。壮大に、重荷をかけたくないから」 <そっか。わかった> ひょいっと雛から離れ、少女は背を向けた。 <雛は、優しいね。みんな、お構い無く守護に痛みを移してった。そういう使命だからってね。けど、普通だよ。誰だって痛いのはやだし> 後ろで手を組み、少しずつ歩き始める。 <君みたいな人、初めて。わざわざ苦しい方を選ぶなんてさ> 苦しい方を選んだ? 違うよ。私はね。 いつも……私の為に怒ってくれて……私の為に、戦ってくれる壮大に、私の痛みを移そうなんて、あまりにも、自分勝手過ぎると思ったから。 でも、一瞬は心が揺らいだ。……ごめん、壮大。 でも、大丈夫。 夢真珠の激痛は、私1人で、乗り越えてみせるから、壮大。 負けないでね。 頑張ってね。
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