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<クスッ。私、雛のこと気に入っちゃった!今回はサービスで終わらしてあげる!>
くるりと振り返ると、少女は満面の笑みを浮かべながら言った。
「え、……できるの?」
<大丈夫!私が受け入れるから。私から受け入れたことなんて一回もないんだよ。基本的にはね。皆に私を受け入れてもらうの。けど今回は、私が雛に馴染む。雛を、受け入れる。そうしたいって、思ったんだ。初めてだよ。こんな気持ちになったの>
少女はどこかわくわくしているように笑っていた。
「そうなの?今までの人は……」
「だから、みぃんな痛みを守護に移してったの。でも、雛は守護に痛みを移さないって言った。守護に苦しいことを押しつけないで、自分で乗り越えようとしてる。私から見れば、正直バカだよ>
そう言って雛を見つめる。ふんわりとした、笑みを浮かべて。
「あはは……」
雛は乾いた笑いをもらし後頭部に手をやる。
<でも、そんなおバカさんと……早く馴染みたいって思ったから……今回は特別に、私が代わりに苦しんであげるよ>
「え?」
この言葉に、雛はぽかんと少女を見つめる。
少女は小さく笑うと、闇に溶けるように消えていった。
「ま、待って!!」あわてて雛は駆け寄るが、そこにはもう何もなかった。
すると、真っ暗な空間が徐々に崩れ始めた。
段々と光が射し込んでくる。
<早く…守護のとこ行ってあげなよ。初めて、ここまで想われてる、幸せ者の守護のところに。これからよろしくね、雛>
そんな少女の声が響き…雛はあまりの眩しさに目を瞑った。
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