護るための力

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正直、辛い。 やられすぎた。 身体中が痛い。 けど、それでも…… 護ってみせるから。 「はん。んなズタボロで何言ってんだ。命に代えても護る? そんなん……俺を倒してから言えや」 秋夜が地面を蹴った。 壮大に向かって、秋夜は思い切り拳を叩きつける。 しかし、地面を抉るのみで、壮大には当たらなかった。 壮大は一瞬動きの止まった秋夜から離れる。 「んだよ動けんじゃねーか」 半ば嬉しそうに呟く。 しかし壮大は無言で秋夜を見るだけである。 「……木火土金水……」 壮大は突如そう呟くと、両手を地面をドゴッ、と殴り付けた。拳は地面にめり込み、手首から下は地面の中だ。 秋夜から、余裕の笑みが消えていく。 「なっお前!」 壮大は構わず、地面から何かを抜き取るように、両手を引き抜く。 「……土」 両手を、まるで手甲のように土が覆っていた。 「お前……その力……」 秋夜が唖然としたまま壮大を見る。 壮大はそんな秋夜を気にもとめず、駆け出した。 「何で……お前がその力をっ!?」 「黙れ」 壮大の拳が、秋夜の腹部にめり込んだ。 「かっ……」 そのまま秋夜は倒れ、動かなくなった。 ドサドサッ、と壮大の両手を包んでいた土が音を立てて崩れ落ちる。 壮大は我に返ったように、自分の手を見つめた。 「俺……どうしたんだ……?」
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