護るための力

3/5

338人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
自分でも、よくわからない。 あの時俺はどうしたんだろう? 土が、俺のの手助けをするように手を覆った。 そして、確かに、俺に力添えをしてくれたんだ。 ……土、が。 そして、無意識に呟いていた、あの言葉。 『木火土金水』 わからないことだらけだ。どういう力なのかも、さっぱりわからない。 「壮大、大丈夫!?」 雛がパタパタと俺に駆け寄る。 壮大は小さくあぁと呟いて、未だ自分の手を見つめる。 「本当に?」 「当たり前だ。心配かけて悪かったな」 そう言って壮大が軽く笑みを浮かべると、雛は心底安心したように微笑んだ。 「……ねぇ、さっきの……」 「……悪い俺自身、さっぱりわかんねぇんだ」 手を見つめるのをやめ、くしゃっと頭に手をやる。 「滝……さんなら何か知ってるかもよ? 壮大の手当てしたら聞きに行こ?」 そう言って、壮大の服の裾を掴む。 そして、促されるように歩き出す。 壮大は何も言わずに、雛の隣を歩いていた。 なぁ、雛。 今はあの力のこと、これっぽっちもわかんねぇけど……一つだけ、言えることがあるんだ。 あの力は……お前を護るために使う力なんだってな。雛はそんな壮大に気づいているのかいないのか……壮大の方を向き、にっこりと笑った。 多分、後者だ。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

338人が本棚に入れています
本棚に追加