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自分でも、よくわからない。
あの時俺はどうしたんだろう?
土が、俺のの手助けをするように手を覆った。
そして、確かに、俺に力添えをしてくれたんだ。
……土、が。
そして、無意識に呟いていた、あの言葉。
『木火土金水』
わからないことだらけだ。どういう力なのかも、さっぱりわからない。
「壮大、大丈夫!?」
雛がパタパタと俺に駆け寄る。
壮大は小さくあぁと呟いて、未だ自分の手を見つめる。
「本当に?」
「当たり前だ。心配かけて悪かったな」
そう言って壮大が軽く笑みを浮かべると、雛は心底安心したように微笑んだ。
「……ねぇ、さっきの……」
「……悪い俺自身、さっぱりわかんねぇんだ」
手を見つめるのをやめ、くしゃっと頭に手をやる。
「滝……さんなら何か知ってるかもよ? 壮大の手当てしたら聞きに行こ?」
そう言って、壮大の服の裾を掴む。
そして、促されるように歩き出す。
壮大は何も言わずに、雛の隣を歩いていた。
なぁ、雛。
今はあの力のこと、これっぽっちもわかんねぇけど……一つだけ、言えることがあるんだ。
あの力は……お前を護るために使う力なんだってな。雛はそんな壮大に気づいているのかいないのか……壮大の方を向き、にっこりと笑った。
多分、後者だ。
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