護るための力

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「木火土金水の力か……。まさか今この世で使える奴が現れるとはな……」 滝は顎に手を当て、じぃっと壮大を見た。 「木火土金水の力って?」 首を傾げながら雛が訊ねる。 「文字通り、木、火、土、金、水の力を使うことだよ。……いや、使う、というよりは、力を借りていると言った方が正しいな。 それぞれ力によって能力は違う。土は、手甲、のようなものだったらしいな」 壮大は黙って頷く。 「随分見掛けていなかった、絶えたとばかり言われていた能力だ。お前が使ったって聞いて驚いたよ」 笑ってぐしゃぐしゃと壮大の頭を撫でる。 壮大は嫌そうに手を押し退け、しばらく考え込んだ。 「じゃあ、俺……土以外にも、使えるかもしれないってことか?」 「……いや。今まで複数の力を使ってる奴は見たことがない」 「…そうか」 つまりは、五つの能力のうち、自分は土をひいたわけだ。 くじ引き、みたいなもの。 少し壮大はがっかりした。五つの能力が使えるかもしれないと思ったからである。もし使えたらなら、きっと雛を護れるのに。 そんな壮大の気持ちを察したのか、滝は慌ててフォローしはじめた。 「いや、でもな?木火土金水の力が使えるのはかなり凄いぞ!?滅多にいないしな!」雛も滝の意図に気づいたのか、慌てて口添えする。 「そうだよ!充分強かったよ壮大!!」 5つ使えなくても、と雛が言いかけた時、壮大は立ち上がった。 「……そうだな。何にせよ、前よりは……強く、なれた」 ぐっ、と拳を強く握る。 滝はふっと小さく笑いながら壮大を見た。 「この力は、お前を護るための力だ。強くなれたつっても、まだまだだ。俺はもっと……強くなる」 雛の方を向き、彼女の目をじっと見た。 「お前を、護りとおすために」
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