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夢真珠を完全に受け入れて、早一週間。
あれから、夢真珠の化身の女の子が度々夢の中に現れるようになった。
私は少し複雑な気分だったけれど、女の子は思ったよりも普通の女の子と何ら変わりなかったので、友達ができたみたいで、正直嬉しかった。
現実で会いたいな……と無茶な事をたまに思ったり。
「雛ーー!!!」
雛がぼんやりとそんなことを考えていたら、バァンッと勢いよく戸が開いて、壮大が家に駆け込んできた。
雛は少し驚いて目をぱちぱちと瞬きして、壮大を見る。
よく見ると、壮大の片腕には、がっちりと先日雛の夢真珠を狙って襲撃してきた秋夜がしがみついている。
「あっ秋夜さんこんにちは」
「こんち~雛ちゃん」
この前の一件以来、秋夜はすっかり壮大を慕っている。
昨日も、壮ちんとか言って壮大に殴られていた。
私に対しても、かなり友好的で、私を狙って襲いにきたことを忘れそうになる。
もともとそんなに夢真珠に固執していたわけじゃないらしい。
元々人当たりがいいらしく、雛も普通に話せる。
「で、どうしたの?」
壮大はしがみついている秋夜を引き剥がして、不満たっぷりに言った。
「……昼飯食いてぇだとよ。いーか、同じもん食わせんなよ」
「んな冷たいこと言うなよ~壮大ー。俺だって雛ちゃんの作ったうまいメシ食いてぇ」
「あつかましいぞこの野郎。テメーなんか大根の皮でも食ってろ」
「ひどっ!!」
その様子に、雛は思わずクスクスと肩を震わせて笑っていた。
「い~い?雛ちゃん」
すがるような目が私に向けられる。
私は笑いながら、言った。
「いいですよ」
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