思わぬ襲来

4/7
前へ
/157ページ
次へ
「え……本当に……お兄ちゃん……?」 知らずの内に途切れ途切れになってしまう雛の言葉。 なん、で? そればかりが、頭を巡る。すごくいいタイミングで会えた。それは良すぎだとも言えるくらいに。夢に見て、壮大に話をして、いつもより無性に会いたくなった、この時に。 これは、偶然なのだろうか? それとも…… 兄だと名乗った男は、にっこりと笑いながら、雛の頬に手を添えた。 ……お兄ちゃん、だ。 よくわからないけど、この笑顔も。 あったかくて、大きなこの手も。 お兄ちゃんなんだと何故か納得してしまう。 「んだよ忘れたのか? 俺、お前のこと忘れたことなかったんだぜ?」 頬に添えていた手を頭にのせると、わしゃわしゃと撫でた。 あぁ、やっぱりこの人は……お兄ちゃんなんだ。 「ううん。忘れてなんか、ない……。ずっとずっと覚えてたよ……」 気付けば、雛の頬を涙が濡らしていた。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

338人が本棚に入れています
本棚に追加