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メシッ…
やがて、一本の枝が伸び、燦の手に収まる。
枝は大木から離れ、燦は枝を握りしめた。
一見すると、鞭のようにも見える。
「…っ、その力…」
壮大は呆然と燦を見た。
雛は、兄を見つめながら、呟いた…。
「木火土金水…壮大、と同じ…」
それを聞き、燦は雛に顔を向けた。
先刻とは違う、鋭い目付き。
「ほう…アイツもこの力持ってんのか。…何の力だ?」
さっきまでとは、まるで違う。
殺気だった兄に、思わず後ずさる雛。
「言わなくていい、雛」
壮大は両手を地面に突き立てた。
「木火土金水…、土」
勢いよく引き抜く。
「言わずとも、分かるだろ」
壮大の手を手甲のように覆う土。
燦は雛から視線を外すと、壮大へと視線を向けた。
「そうか…土、か」
燦はニヤリ、と口角をあげた。
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