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燦は、狂ったように、笑い続ける。
「くはっ、ははははははは!!充分だ!ますますモノにしたくなった!」
「っあぶねぇ!」
メキッ!
壮大が、少女の腕を引っ張り引き寄せた。
刹那、少女が立っていた場所に、勢い良く、木の根が突きだした。
「あ、ありがとう、守護」
目をぱちくりさせながら少女はお礼を言った。
「ああ、気にすんな…。アイツ、どうしたんだいきなり…」
壮大は、薄く笑みを浮かべ、後ろの木を操る燦を見やり言った。
「…わからない…けど、明らかにおかしい」
「…それは、俺もわかってる」
メシッ…
先刻と同じように、木の鞭が燦の手に握られる。
「…ちっ、とりあえず…今はやるしかねぇみたいだ」
壮大も、地面に両手を突き立て、引き抜いた。
少女は、少しだけ顔を歪めた。
しかし、諦めたように目を閉じ、そして開けた。
「守護。死ぬな。そして、殺すな」
壮大は、少女に背を向けたまま言った。
「当たり前だろ」
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