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「壮大っ!!起きてっ」
ゆさゆさと雛は壮大をゆする。
「……あ……」
ふと手のひらに目をやると…壮大の血で、真っ赤に染まっていた。
「…や…そうだ、い…」
ちからなく、呼び掛ける。
だが、一向に…返事はない。
「壮大、壮大…そうだ…い?」
突然壮大の体が起きた。
「そうだ…?」
ぱっと顔をあげる。
そこにあるのは、穏やかに目を閉じたままの壮大の顔。
「ふん。ようやくくたばったか」
燦が、壮大の首を掴みあげていたのだ。
「やめてお兄ちゃん!!壮大を…」
「黙れっ!!」
ビシュッ!
木の鞭が雛の頬を打ち付けた。
「あっ!」
倒れる雛。
「うぅ…壮大…」
なんで?
なんで私こんなにも無力なの…?
いつも壮大は私を護ってくれたのに…。
私は助けることすら、できないんだ…。
また、涙が溢れた。
<…雛…雛…!>
頭の中で、あの声が響いた…。
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