雛の力

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あれ…? 肩が…あったかい。 どうなったんだろ、俺…。 さっきまで…冷たかったのに… 傷が、深かったのか、不思議と痛みはない。 笑っちまうよな…。 肩に風穴開かして…。 「…ん…?」 今まで重くて仕方なかった瞼が簡単に開いた。 「壮大!!」 雛…? 「え、雛…俺」 体を起こし、驚いた。 肩の傷が、完全に塞がっていた。 「なんかね、私の血ついたら治った…」 心底安心したように微笑む。 「っ!おい!その顔どうした!?それに右腕!袖真っ赤じゃねぇかっ」 雛の頬は斜めに赤く血がにじみ、着物の袖が真っ赤に染まっていた。 「あ、えー…まぁ」 言いづらいのか、雛は言葉を濁す。 「何だよ!」 「まぁその、頬ひっぱたかれた拍子に転んだ…んですか?」 「俺に聞くな」 大体わかった。 この動揺からすれば… 「…アンタだろ、燦」 立ち上がり、睨み付ける。 燦は無表情のまま、ふっと口角をあげた。 「…だったら何だ。夢真珠保持者はいただいていくぞ」
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