雛の力

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「ひ、彦座様っ…」 燦が、そう呟くと同時に、ぶわっと煙のように黒い何かが、燦の体から噴き出した。 べちゃ、と音をたてて、崩れ落ちる。 そのまま、何の造形も留めていなかったそれは、やがてむくむくと形をはっきりと造り始める。 小さい、人形のような形に。 「っ!てめぇが元凶か!」 壮大がドスッ、と土の手甲で突き立てた。 そのまま、黒い何かは、パン!と破裂し、消えた。 残るは、倒れる燦。 立ち尽くす、雛と壮大。 そして、新たに加わった…謎。 燦の言った『彦座』。 そして、あの黒い何か。 夢真珠をめぐり… 影で何かが動き始めていた。
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