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私自身が、夢真珠なんだ。
<…私は元々、一人の人間だったんだよ>
「えっ!?」
雛はそれを聞き、目を丸くした。
少女の顔が、悲しみに彩られる。
<でも、ある時、そう…15歳の誕生日の日に…私は夢真珠になった…>
15歳の…
雛が夢真珠保持者になるために執り行った継承の儀と同じ。
では、目の前の少女は…
<…だから、今の私の姿はね。君と同い年なんだよ、雛>
にっこりと微笑み、少女は雛の手をとった。
<私が何故夢真珠になったか、今は言えない。けど、雛、忘れないで。私が私のことを教えたのは君だけだってこと。
それだけ私は、君が大切になってしまった。
保持者である君が。
いずれ話すよ。夢真珠になったわけを。
でもそれは今じゃない>
ぎゅ、と雛の手を握る手に力をこめる。
雛はぱちぱちと瞬きした後、にっこりと笑って、少女の手を握り返した。
「うん、わかった…」
それを聞き、少女は満足そうに顔をほころばせ、言った。
<私の人間の時の名前は夢美(ゆめみ)。夢に美しい、で夢美…>
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