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夢真珠は、夢見家が代々受け継いできた家宝である。
夢が叶うと言い伝えられ、今まで沢山の者が群がり、そしてそれを求めた。
それを自らの体に埋め込み継承してきたのが、夢真珠保持者…すなわち夢見家である。
そして、夢真珠保持者につき、夢真珠を護るのを義務、使命とするのが壮大達、“守護”なのだ。
「だが、雛は私の娘ではない。夢見家の血筋ではないんだよ」
「え?」
壮大が、目を見開く。
雛は唇を結びただ俯き床を見ていた。
まだ感じる夢真珠の圧倒的な存在感。あんなちっぽけな物が、自分よりも存在する意味を持っていて。
そして何より、自分の“存在理由”なのだ。
「つまり、養子だ。本来は夢真珠を継ぐ者に値する者ではない」
「…じゃあ」
何で、と言おうとする壮大だったが、雛の父は遮るようにその意味を言った。
「夢真珠保持者は…常に危険がついて回る。死など今まで以上に身近なものになるだろう。だが、私は娘にそんなものを押し付けたくなかった」
それでも、夢真珠を絶えさせるわけには、いかなかった。
「だから」
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