338人が本棚に入れています
本棚に追加
「畜生!!待て!俺はまだっ…」
「…黙れ…」
兵馬は這いつくばる壮大を蹴りつけた。
思わず雛は目をギュッとつむり、無意識に兵馬にしがみついた。
「…!」
「ごぼっ…!雛、待ってろ今…」
「壮大!」
ちっ、と舌をならし、再度蹴りつけようと足をあげた。
「やめて!!!」
突然叫んだ雛に兵馬は驚きながら視線を向けた。
「行く…から、もうやめて…」
ポロポロと涙を流しながら、懇願する。
兵馬はプイッとそっぽを向き、すたすたと歩き出す。
「おいっ」
「夢真珠に免じて…これ以上はしない。夢真珠に感謝するんだな…」
足に絡み付いた鎖は緩まる気配もない。
壮大はギュッと拳を握りしめた。爪が食い込むも、気にせず力を込める。
「ちく、しょう…!」
いつの間にか、赤い血が滲んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!