彦座の刺客

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雛は慌てて後ずさろうとするが、腕を掴まれているため動けない。 「この…華奢な細腕を…開きたくない」 「開くって…」 即座に雛は理解した。 兵馬の言う『開く』とは、『切り開く』ということ。 「雛…俺は…貴女に惚れてしまった」 「うぇ!?」 突如名前で呼ばれた挙げ句に愛の告白。 雛は顔を真っ赤にしながら目を見開き兵馬を見る。 「あ、の」 「…俺の名は、久遠 兵馬…」 するりと手が伸びて雛の頬に触れた。 兵馬はそのまま射るように雛に視線を合わせる。
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