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「へっ?」
腕を引かれてよろけた雛は、ぽすっと兵馬の腕の中に収まった。
意味がわからず硬直する雛を兵馬は気にせず抱きしめる。
「…だが…俺の指名は貴女の夢真珠を奪うこと…。
何て…
残酷な運命なのだろうか…」
「うっ…」
突然腕に痛みが走る。
雛は顔を歪ませたが、兵馬は放す気配もない。
この時、ようやく雛は腕が切りつけられているのに気づいた。
兵馬が金の能力で作り出した、鋭利な刃。
肌がまるでそうなることを望んでいるかのように、切り裂かれていく…。
「いっ…あああ…!いた、い…」
涙を流す雛。
ボタボタと鮮血の溢れる音が聞こえる。
雛はもう片方の腕で兵馬の背を叩く。
しかし、兵馬は全く動じない。
「ゆめ…み…」
雛は少女の名を呼んだ。
このままじゃ…夢真珠が、奪われちゃうよ…!!
どうすれば、いいの…?
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