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「いや、クリスマスはもう会う約束してるで」
「じゃあ脈アリやないですか!?」
「あぁ。多分向こうも、俺のこと好きやと思う」
願望も少しは入ってるかもしれんけど、長い付き合いやから何となく分かる。
「じゃあわざわざ1ヶ月も前からプラン立てんでも――」
「いや、長いこと友達やってきたから、ムードとかきっかけとかないと無理や。なんかこう……グダグダっていうか、いつも通りになりそうで……」
いつもみたいにゲーセンで格ゲーやったり家でVシネ見たり居酒屋でビールかっくらったりしてたんじゃ、実る恋も実らへん。
「ま、何となく分かる気はしますけど。でも何で俺なんです?」
「だって自分……去年、クリスマスデートしてたやん……」
「去年……?」
一瞬考えて、ユラ様はムカつく程朗らかに笑った。
「あぁ、アレは完全にネタですよ!だって相手は――」
「たっだいま~~!!!!!!!!交替の時間やで~~!!!!!!!!」
タイミングを読まずに、大きな声が話を遮った。
続いて部屋に入ってきた俺の幼なじみを、ユラ様は指差して笑う。
「この人ですよ?」
去年のユラ様のクリスマスデートの相手。
そして、今年の俺のクリスマスデートの相手。
俺の想い人――ダイシ。
「なんやねん?あ、自分ら俺の悪口でも言っとったんやろ?」
「いやね、ダイシ兄さん。実はリダさんが――」
「ユラ様、さっさと行くで!!」
「え?リダさん?何で赤くなって……え?もしかして――」
うろたえるユラ様を引き摺って、俺は後ろを振り向かずにスタジオへと向かった。
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