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「そいつに近付くなっ!」
いきなり男の声が聞こえてあたしと女の子の間にバチッと火花が散った
「きゃあっ!」
「くそ…もう少しだったのに」
そう言ったのは確かにあたしの前にいる女の子だった
――え…?――
そう思っていると女の子は下を向いていた顔を上げるとあたしは腰が抜けて地面に尻餅をついてしまった
だって女の子からスッと黒いものが出て、たちまち体型が変化して全く別の物体になってしまったから。
そう。今日、社会の先生の背中に憑いていた物
「お前が欲しい…」
その物体はあたしに近付こうと手を伸ばしてくる
だが、あたしはこの通り。一歩も動けない
すると上からバサッと降りてきた何かがあたしを引き寄せて庇うと物体を爪で切り裂いた
「ったく…油断も隙もない」
そう言うとバラバラになった物体に左手を当てると散らばっていた破片が手の中へ吸い込まれてなくなった
そのまま、吸い込まれた方を向くと整った顔の男が立っていた
「い、一体なんなの…?
あなたは、あたしを助けてくれた…の?」
男は「ふっ」と鼻で笑う
「この顔、見覚えあるだろ?」
そう言って彼は髪をボサボサにして左手に包帯を巻いて見せた
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