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だからこそ彼の一族は人間と契約し、代わりに自分が持ち合わせる能力を以てして、全力で契約主を護ろうとする。
それ故に、彼は“騎士”としても契約主に付き従っている訳なのだ。
“護る”事自体が使命となっている彼らには、それは既に自然の摂理とも言えるが、リュシュターにとっては許せない箇所があったらしく。
それからしばらく、何の会話もしてくれなくなった時期があった。
沈黙はリュシュターの乙女らしい小さな反抗だったのだが、それが何を意味するのか、肝心なところで鈍いシュバリエには無意味な反応であった。
とにかくリュシュターは、彼が繰り出す蒼い疾風に見とれていたのだ。
自らの命の危険も顧みずに――。
「アイツ、再生能力なんて高等なもん持ってやがったのか」
リュシュターの無事を確認した事で少しは安心したのか、シュバリエは再び小さく舌打ちをする。
それからすぐに瓦礫の山へと視線を向けると、赤い瞳で睨みつけながら、鋭い声音を放った。
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