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「俺の姫に手ェ出すヤツは、どんな理由があろうと許さねぇぜ。きっちり片付けさせてもらう」
少女を安全な方へと案内し、シュバリエが瓦礫の山を睨む。
まるで最終勧告のように、シュバリエの周囲に大小様々な疾風が巻き起こっていく。
それは空の青よりも蒼く、海の蒼よりも深く、そして全ての碧をも凌駕する。
誰もが思わず見とれてしまう程の、筆舌に尽くしがたい美麗な色で、まさかそんな疾風が、どんな凶器よりも恐ろしい殺傷能力を持っているとは、まず想像もつかないだろう。
しかしその間にも禍斗も復活したのか、派手な音を立てて瓦礫を払いながらゆっくりと立ち上がる。
そうしてついた埃を払うように身体を揺らすと、標的を完全にシュバリエへと移した様子で、地獄の底から響くような唸り声を上げた。
どうやら禍斗は、先刻からシュバリエに、良いように扱われているのが気に入らないようだ。
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