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「グハァっ」
僅かに身体が跳ね、情けない悲鳴があがると、それで彼が死んでいない事を確認したリュシュターは、自らの行動を全て棚に上げた突っ込みを入れる。
「ちょっとシュバ、遊んでないで真面目にやってくれます?」
かつてない程の冷ややかな視線を浴びて、突然がばっと跳ね起きたシュバリエは当然の事ながら、リュシュターに対して抗議の声をあげた。
「テメェ、何してくれちゃってんだ! 何が“殺さず捕らえて”だ! いっその事テメェが死ね!」
リュシュターの台詞のみ、ご丁寧にもジェスチャーつきでそう叫んだ彼に、少女は不思議そうな表情で返す。
それからしばらく考え込んでいる様子だったが、やがて軽快に両手を打つと、満面の笑みを浮かべたのだ。
「ですがシュバ、私が死んだら困るのは貴方よ」
「あぁそうですか! 別に俺は構いませんがね!」
夜の闇に、二人の声が響く。
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