第二章・―喧嘩と依頼―

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 だからこそ、彼が依頼を断らせようとする度に落ち込んだ素振りを見せる。  要するにシュバリエは、決して依頼内容やクライアントが気に入らない訳ではない。  実のところそのせいで、彼自身何より大事に想うリュシュターが、危険な目に遭うのが気に入らないだけなのだ。  だから依頼を受けた時はまず、何よりも先に危険度を問う。  そしてその内容を把握した彼が危険だと判断した時のみ、依頼を断れとの難色を見せるのだ。  だが、どうやらリュシュターは、それを彼の意地悪だと勘違いしているようで、その事に反発して、どんなに危険な仕事でも請けるようになってしまっている。  当然、彼はどんな状況下においても、リュシュターを護りきる自信だけは持っているつもりだった。
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