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その方法とは、人間に服従する事を引き換えに、血を確保する形で摂取するシステムだった。
このやり方ならば、一人の人間に付き従い、その血に合わせて己の身体を“変異”させていく事で。
むやみに血を啜る偏食を未然に防げる上に、契約主が死ぬまで血に事足りない生活を送れる、というメリットまで生まれる。
まぁ、画期的なそのシステムにも一応のデメリットはあるのだが、この状況に直接関係がある話ではない。
しかも今のところシュバリエが問題に直面している訳でもなく、こうして“何か”と対峙しているのだ。
とにかくシュバリエは、面前で殺気を放っている“何か”を一瞥すると、僅かに口角を歪め、紫煙を吐き出した。
闇に浮かぶ、小さく頼りない灯り。
それはまるで命のともし火のように呼吸の動きに、空気の動きにあわせて明るくなり、そして暗くなっていく。
対峙の時間は長いようでいて、短い――。
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